
2008年8月1日、オリンピックを目前に控えた中国国内ではインフレを止めることが出来ず、穀物価格は高騰の一途を辿っている。昨年より続いているガソリン価格史上最大の大高騰を受けてであるということは言うまでもない。1バレル150ドルを目前に控え、200ドル越えもあり得るとか、いや100ドル近辺で落ち着くはずだとか、世界中で議論がなされており結果は神のみぞ知るといったところだ。しかし、2006年レベルである50ドル以下になるということは考えられず、今後、どんな結果になろうとも、エネルギー産業の再構築がなされることは間違いない。エネルギー産業の再構築とは、省エネと代替エネルギーの開発であると私は考えており、この開発を支えるキーマテリアルがレアメタルである。
省エネ代表格である、トヨタハイブリッドカーはレアメタルの宝庫であり、バッテリーにはコバルト、リチウム、モーターにはネオジウム、ボロン、筐体、エンジン系の合金にはチタン、マンガン、バナジウム、マグネシウム、ニッケル、クロム、モリブデン、制御系コンピューターにはガリウム、タンタル、シリコン、カーナビにはインジウム、車内の難燃系プラスチックには、アンチモンが添加されているといった具合に、数え上げればきりがない。
代替エネルギーでまず思いつくのは太陽電池であるが、CIGS(銅 インジウム ガリウム セレン)化合物や、ゲルマニウム、ガリウム、インジウム、シリコンを層別に使い分けた新材料は、電気変換率の飛躍的な向上に貢献した。変換した電気を充電するためのバッテリーの将来には、大容量バッテリーに向き、漏洩電力が少ないバナジウムレドックスフロー電池が用いられるかもしれないし、現行のコバルトリチウム電池にジルコニウムをセパレーターに用いて安全性が増した新しいコバルトリチウム電池かもしれない。
これらのレアメタルは日本国内で生産されているかというと、ほぼ全量を輸入に頼っている。レアメタル生産国は偏在しており、中国、カナダ、南アフリカ、ロシアなどがその代表格であるが、日本は中国からの輸入が大半を占めている。2003年から始まったレアメタルパニックは中国政府による輸出規制政策や、トレーダーによるスペキレーションによって行われた人為的なものであった。その後、中国以外の国からの購買も進んだが、依然として中国からの輸入が大半を占め、非常に危うい輸入環境であるといえる。
近代中国との貿易の歴史は広州貿易会に始まる。同貿易会に参加をしていた先人の話を聞く限りは、過去の中国のレアメタルには夢とロマンと危険が溢れている。買値の倍値で売れるような掘り出し物があったり、半額の替わりに半分が使い物にならないようなジャンク品であるといった具合であった。ITがもたらしたグローバル社会は、世界中にネットワークを張り巡らされ、そうしたロマンがなくなった替わりに、前述したスペキュレーションによる投機が新しい冒険要素として組み込まれた。
広州貿易会時代の商社機能はE-MAILとINTERNETによって陳腐化され、中国を主戦場に置く現在の商社には、環境の変化に対応した新しい機能が求められる。
我々が考える新しい機能とは以下5点である。
1:政府による輸出規制政策をいち早く察知する情報機能と、その対応が出来る現地流通機能。またトレーダーによるスペキュレーションの早期察知とその対応機能。
2:レアメタル生産代替国の開発を行うことが出来る複合的な国関係に基づくボーダレス機能と川上産業の委託加工機能。すなわちアジア中からレアメタル原料を集め、最適国にてレアメタル精錬を行うことが出来る機能。
3:現地鉱工業への資本参加を積極的に行い、自社によるレアメタル生産力を持ち、その生産力を背景にした同国鉱業業界内における発言機能及びスペキュレーション抑止力。
4:川下産業の委託加工、レアメタルを利用した機能性材料の開発機能。また開発製品を中国内にて販売することが出来るローカル販売網の構築機能。
5:ITを駆使した顧客サポート、すなわち中国にいながらも日本にいるクオリティー以上のサポート機能。
上海有貿稀貿易有限公司は上記機能を持って、より高いユーザービリティを追求する。
拡大EUは各国の文化を維持しながら経済を統合した。『全方向へ無限』 尊敬するフリーマン・ダイソン博士の著書だが、同書では世界は画一的な社会を嫌い、全方向への発展を願っている。我々の世代が出来ることは、アジアにおける調和と共生に基づく統一であり、それは経済合理性の上に成り立ち、同時に各民族の文化が維持されることが重要である。アジアのレアメタル開発は富の再分配に繋がり、経済的な統一を推進する。我々は、持っている機能を活かし、その開発を推進していくことが使命であり、微力ながらも人類の未来を切り開くことに貢献出来ればと考えている。